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猿橋賞とは

猿橋賞

「女性科学者に明るい未来をの会」(1980年創立)は、 自然科学の分野で、顕著な研究業績を収めた女性科学者に、 毎年、賞(猿橋賞)を贈呈しております。  賞金は、本会を母体として設立された公益信託(1990年3月13日文部省認可) 「女性自然科学者研究支援基金」(受託者:三菱UFJ信託銀行)から支出されます。

創立の趣旨(1980年10月)

 人間を生物種ヒトとしてみれば、種族の維持のため、男女の別がある。しかしこの別は生物学的なもので、そこには上下・優劣の差はない。ヒトの女は男に比べ、一般に小柄で筋肉の力は弱い。しかしその代わりに、女は子供を生む力を備えている。そして男はXY、女はXXという異なる性染色体を持っている。このような違いのほかには、人間としての男女の能力には少しも本質的な差はない。さらに種族の維持のためには、男女の協力が必要であることは言うまでもない。
 人間が単なる自然状態から社会を作り始めるに至って、男女の間に差別を生じ始めた。その原因は社会が進むにつれて男女の社会的な働きの間に差を生じ、とくに政治・経済的な力を独占した男と、それに隷属・依存する女という形を取り始めたことにある。こうして数千年間にわたって抑圧されてきた女は、著しく、その社会的活動能力をそがれ、あたかも、男女間には性別に起因する優劣の差が存在するかのような、誤った錯覚が一般化するようになった。 しかしようやくフランス革命、アメリカ独立戦争の後、十八世紀の終わり頃から、人間の平等・人権・自由の尊重などの意識が目覚め、不自然な男女差別にも反省の色が見え始めた。さらに二十世紀になって第一次世界大戦、ロシヤ革命、第二次世界大戦を経て、男女差別を解消しようとする動きが始まった。最近国連でも1975年を「国際婦人年」、さらにその後の十年を「国連婦人の十年」とした。昨年末、国連総会では「国連婦人の十年世界会議」は「婦人に対するあらゆる差別の撤廃に関する条約」に、日本を含めて七十五カ国が署名した。
 我が国では第二次世界大戦後になって、婦人参政権、法の下での男女平等、教育における男女の機会均等などが憲法で保証されることになり、明治・大正の頃に比べれば、婦人の権利は大幅に広げられた。しかしいまだに職業上の男女平等の道は遠い。とくに自然科学の研究分野では、男子の力が圧倒的に強い。また家庭をもった女性自然科学者に対する研究上の障害も大きい。
 女性の科学者数は総数においても比率においても、きわめて低いとはいえ、幾多優秀な科学者を出した。また、女性の科学的知識のレベルも向上し、国民生活の大きな基礎となっている。 私たちは女性科学者の持つ、きわめて高い潜在能力を信じ、それに大きな期待を寄せている。また、私たちは我が国の自然科学の今後の発展が、女性科学者の活動に依存することがきわめて大きいと考えている。そして現在、女性科学者がおかれている状況の暗さの中に、一条の光を投じ、いくらかでも彼女らを励まし、自然科学発展に貢献できるように支援することができればと願っている。
 幸いにして、今春、気象研究所地球化学研究部長を定年で退官される猿橋勝子博士が、退官記念事業の一環として、友人・先輩から寄せられた寄付金五百万円の全額を、その目的のために提供されたので、とりあえず、それを当初の基金として「女性科学者に明るい未来をの会」を設立し、その事業として「学術賞」(猿橋賞)を、優れた研究業績を挙げた女性科学者に贈呈することにしたものである。何とぞ、本会設立の趣旨をご理解の上、本会の育成発展にご協力をお願いするとともに、今後一人でも多くの女性科学者を励ますことができるよう、格別のご支援を賜りたい。

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